「平均1億円超え」という見出しを初めて目にしたとき、正直、笑えなかった。
筆者も過去にマンションを購入した経験があるけれど、今はもう別の街の話みたい。東京のマンション市場は、ここ数年でそれほど別次元の水準に突入してしまっている。
「買いたいけど、さすがに高すぎる」「待っていれば下がるかな」「23区外なら現実的?」——そんな声をよく聞くようになりました。この記事では、価格がどう動いてきて、今どのくらいで、これからどうなりそうかを、できるだけフラットに整理してみたいと思います。
そもそも、いつから高くなったのか
東京のマンション価格が本格的に動き始めたのは 2013年ごろ のことだ。
きっかけは日銀の異次元緩和。超低金利環境が整い、株高・円安の追い風も重なって、不動産投資マネーが都内に流れ込んできた。以来、「コロナ後に下がる」「五輪後に下がる」と言われるたびに期待を裏切り、ほぼ一貫して右肩上がりが続いています。
それに追い打ちをかけたのが、建築コストの上昇だ。資材費の高騰、人手不足、2024年に施行された建設業の時間外労働規制——これらが重なって新築マンションの供給戸数が激減した。不動産経済研究所によると、2024年の首都圏の新築マンション発売戸数は 2万3,003戸 と、1973年以降で最少の水準。需要が衰えないまま供給だけ絞られていけば、価格が上がるのは当然の流れでした。
価格推移を数字で見ると
東京23区 vs 23区外:新築マンション平均価格の推移
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© 2026 LandPress ー 暮らし不動産メディア|グラフは公開データをもとに編集部が独自作成。転載の際は出典を明記のうえご連絡ください。
| 年 | 東京23区 新築平均(万円) | 23区外(都下)新築平均(万円) |
|---|---|---|
| 2015年 | 約6,900 | 約4,300 |
| 2017年 | 約7,200 | 約4,500 |
| 2019年 | 約7,800 | 約4,700 |
| 2021年 | 約8,500 | 約5,000 |
| 2023年 | 約11,500 | 約5,900 |
| 2024年 | 約11,181 | 約6,384 |
出典:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」各年版をもとに作成
2015年から2024年にかけての上昇率を比べると、23区の伸びが23区外を大きく上回っている。10年間で 都区部の中古マンションは約1.71倍、多摩地区でも1.44倍になったというデータがある(東日本不動産流通機構)。多摩地区も決して低くはないけれど、都心との差はむしろ広がっている、というのが実態です。
2024〜2025年現在の相場感
新築・中古、それぞれの「今」

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【新築マンション・2024年】
- 東京23区:平均 約1億1,181万円(年間集計)。月によっては1億4,000〜1億5,000万円台も
- 23区外(都下):平均 約6,384万円
- 首都圏全体:平均 約7,820万円
【中古マンション・築10年・70㎡・2024年】
- 東京23区:平均 約8,985万円
- 23区外(都下):平均 約4,880万円
新築・中古ともに、23区と23区外でほぼ 倍近い開き がある。「同じ東京都内」なのに、ここまで違う。
2025年に入ってからもその傾向は続いており、LIFULL HOME’Sの調査では 23区全域で新築平米単価が100万円以上 という状況が初めて実現した。かつて最もリーズナブルだった葛飾区ですら平米単価139.5万円で、港区に至っては平米単価400万円超。70㎡換算でざっと計算すると 2億8,000万円 ——もはや別の世界の話、という感覚は拭えない。
なぜここまで上がったのか
価格上昇の背景はひとつじゃない。いくつかの要因が複合的に重なっています。
① 海外投資マネーの流入
円安を背景に、中国系投資家をはじめとする海外富裕層の東京不動産への需要が続いている。東京湾岸エリアの1億円超タワーマンションでは、2023年以降の購入者の約3割が外国人名義という調査結果もあリます。
② 供給が追いつかない
土地の枯渇、建築コストの高騰、人手不足——新規供給が絞られた結果、需給バランスが崩れている。デベロッパーも採算の合う都心の高額物件に絞り込む傾向が強まっていて、実需層(普通に住みたい人)向けの供給が特に不足しているのが現状です。
③ 国内富裕層の増加
野村総合研究所の調査では、日本国内の富裕層・超富裕層世帯数は2013年以降一貫して増加。株高の恩恵を受けた層が資産運用・相続対策として不動産に向かっており、これが高値を下支えする構造になっている。
今後どうなるか
これが一番気になるところだと思うけれど、正直に言うと「どちらとも言い切れない」が現実的な答えになる。
高止まりしそうな理由
海外マネーの流入はすぐには止まらないし、品川・渋谷・虎ノ門など大規模再開発が続く都心エリアの価値は中長期的に上がりやすい。東京への人口集中・転入超過の傾向も続いている。
落ち着く可能性もある理由
日銀の利上げが変動金利に波及すれば、購買力は確実に削られる。高齢化による相続物件の売り出し増加が、特に郊外エリアの価格を抑える可能性もある。リクルートの調査では、価格上昇を受けて23区内での購入者割合がすでに低下傾向にある(2024年:28.3%、2010年代後半:約40%台)。実需層は少しずつ23区外にシフトしはじめているようです。
「待っていれば安くなる」は通用してきたか

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過去10年を振り返ると、「もう少し待てば…」という期待は何度も裏切られてきた。だからといって「今すぐ買うべき」と言いたいわけでもない。金利が上がっていく局面では、価格だけでなく毎月の返済負担も変わってくる。
「価格だけ」を見て判断するのではなく、自分の収入・生活スタイル・将来設計と照らし合わせることが、これまで以上に大切だと感じている。
まとめ
- 東京23区の新築は、2024年平均で 1億円超え が定着。月次では1.4〜1.5億円台も
- 23区外は同じ東京都内でも ほぼ半分の水準。ただしこちらも着実に上昇中
- 上昇の主因は「海外マネー」「供給不足」「国内富裕層の増加」が重なったこと
- 今後は金利動向と中古供給の増加が、価格を抑える方向に働くかもしれない
エリア別の詳しい相場や、住宅ローンへの影響などは別の記事で掘り下げていく予定です。まずは「今の市場全体の温度感」を掴んでもらえたなら、書いたかいがあった。
参考データ:不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」各年版 / 公益財団法人東日本不動産流通機構(REINS)/ LIFULL HOME’S「東京23区新築マンション価格調査(2025年版)」/ リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」
本記事の数値は執筆時点(2026年3月)のものです。不動産市場は変動しますので、購入・投資の判断は必ず専門家にご相談ください。


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